本書の内容
『大国間競争の新常態』の英訳版。米中関係において競争の論理がますます強まり、競争の射程もパワー、利益、価値、規範、そしてそれらを反映する国際秩序の在り方をめぐる包括的かつ根源的なものとなっていた。またアジア、あるいはインド太平洋を中心に各国・地域の安全保障政策においても、大国間競争という時代認識が強まっていた。米中戦略的競争とは何かを明らかにしたうえで、それが各国・地域でどのように派生するのかを解明する。本書の編者が共同研究のメンバーに提示した研究のねらいである。
編著者について
防衛省防衛研究所 政治・法制研究室長。
専門分野は現代中国論(外交・安全保障)、国際関係。著書に『ウクライナ戦争の衝撃』(編著:インターブックス、2022年)、『中国は「力」をどう使うのか』(共著:一藝社、2023年)ほか
目次
序章 大国間競争のダイナミズム
【第1部】米中戦略的競争とロシア・ファクター
第1章 中国の国際秩序構想と大国間競争 —自信と不満が交錯する「大国外交」—
第2章 米国と対中競争 —固定化される強硬姿勢—
第3章 ロシアの古典的な大国構想 —遠のく「勢力圏」—
【第2部】大国間競争のなかの地域秩序
第4章 ASEANの「中立」—米中対立下のサバイバル戦略—
第5章 大国間競争のなかの豪州 —同盟と地域の狭間で—
第6章 大国間競争下の南アジア —米中競争時代の到来と「対テロ戦争」の残滓—
第7章 戦略的競争における欧州 —国際秩序と地域秩序の相克—
Introduction
Part I U.S.-China Strategic Competition and the Russia Factor
Chapter 1 China’s Major-power Diplomacy in an Era of Great Power Competition
Chapter 2 The United States and Competition with China America’s Entrenched Hardline Posturing
Chapter 3 Russia’s Classical Notion of Great Power and Waning “Sphere of Influence”
Part II Great Power Rivalry and Regional Order
Chapter 4 ASEAN’s Neutrality A Survival Strategy amid U.S.-China Confrontation
Chapter 5 Australia in an Era of Great Power Competition Navigating the Middle Ground between the Alliance and the Region
Chapter 6 South Asia under Great Power Rivalry The Advent of U.S.-China Competition and the Vestiges of the Global War on Terror
Chapter 7 Europe in the Strategic Competition Between the International and Regional Order