本書の内容
中国 魯迅文学賞受賞作家・李娟の若き日の作品集
訳者あとがきより
『アルタイの片隅で』は、著者・李娟の母親が中国アルタイの遊牧地域で開いた裁縫店兼雑貨店にやって来る人々や生活を描いた物語。世界の片隅にある雑貨店――それはきっとコンビニよりも小さな店だけれども、遊牧民たちにとっては、まるで百貨店のようなワンダーランドだったに違いない。李娟の書くものの中から見えてくる生きることへの誠実さ、静かさと強さは、中国文学という枠を超える。私たちは、どんな環境にあっても、人にも自分にも誠実に創造的に生きることができるのだ。
著者について
李娟(リー・ジュエン)
作家。1979年、中国新疆生まれ。1999年頃から、新疆北部のアルタイ遊牧地域で、母親が営む雑貨店を手伝いながら散文を書き始め、「南方週末(Southern Weekly)」紙などにコラムを持つようになる。2018年、『遥遠的向日葵地』で中国文学における最高栄誉の魯迅文学賞を受賞。他にも上海文学賞、人民文学賞、第二回朱自清散文賞など、多くの文学賞を受賞している。代表作は『冬牧場』『羊道』三部作など。
目次より
・カウトゥで
ある普通の人/春からたった二十センチの雪うさぎ/カウトゥのおかしな銀行/私たちの裁縫店/私の麺作りを見ていた男/お酒を飲む人/アルシャーと彼の冬の牧場
・バラアルツで
林林のいた日々/バラアルツの幾晩かのこと…/もっと辺鄙なところに住む中国人一家
・サイホンブラックで
子どもたち/カフナと友だちになって/おばあちゃんを連れて遊びに出る/靴を修理する人
・橋頭で
秋/犬/子羊を懐にいれた老人
・赤い大地で
ゴビ砂漠で/妹の恋/草を摘む/金魚/ピンク色のバス