本書の内容
本書は、ハラール産業とイスラーム金融について豊富な資料を基に解説している。ハラール産業では、その歴史と現状、取り組んでいる課題について考察し、イスラーム金融については、産業としてのイスラーム金融の様相、ムスリム社会のあり方、特に政治と経済の関係、就職とキャリア・パス、さらにはジェンダー問題などを、事例を通じて明らかにしている。
著者について
福島 康博
立教大学アジア地域研究所特任研究員
1973年東京都生まれ。マレーシア国際イスラーム大学大学院MBA課程イスラーム金融コース留学をへて、桜美林大学大学院国際学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(学術)。東京外国語大学アジアアフリカ言語文化研究所研究機関研究員ののち、2014年より現職。2014–15年度観光庁「ムスリムおもてなしプロジェクト」委員。観光庁『ムスリムおもてなしガイドブック ムスリム旅行者受入環境の向上を目指して』(2015)の監修。
研究テーマ:マレーシア地域研究。イスラームと経済の関係性:イスラーム金融、ハラール食品、ムスリム・フレンドリー・ツーリズム
編著書:『Q&A ハラールを知る101問—ムスリムおもてなしガイド』(解放出版社、2018)。『東南アジアのイスラーム』(床呂郁哉・西井凉子と共編、東京外国語大学出版会、2012)
目次より
はじめに
第1章 ハラール・ビジネス
現代イスラームとハラール産業/ハラール・エコシステム/発展を目指すハラール産業の見本市/ハラール認証制度
第2章 イスラーム金融とは何か
イスラーム金融の誕生/イスラームに準拠する金融/イスラーム銀行の預金と融資/シャリーア・コンプライアンス
第3章 ハラール産業のステークホルダーたち
イスラーム諸国の企業と非イスラーム諸国の企業/利用客/人材育成とキャリア・パス/政治家が語るハラール・ビジネス/イスラーム法学者の役割
第4章 ハラール産業とムスリム社会
CSRとSDG/反イスラームへの対応、他の宗教・民族との関係/エコ&環境問題への取り組み/ラマダーン月の社会貢献活動/ムスリムがマイノリティの国
第5章 現代的課題に挑むイスラーム金融
国連機関との連携と地域関係の強化/イスラーム銀行のグローバル展開/イスラーム金融と女性のエンパワーメント/フィンテック/コロナ禍への対応
第6章 観光ビジネスとイスラーム
イスラームの聖地巡礼/イスラームと観光/ムスリムの誘客をめぐって
第7章 ハラール・ビジネスと日本
日本とムスリム/ムスリムに対してとるべき対応/場面別のムスリム対応
おわりに
グローサリー